Skip to main content

アーモンドに関する新たな研究が、 血糖値や1日の摂取カロリーを抑える可能性を示唆

2021/11/26

午前中にアーモンドを摂取すると、高炭水化物のスナックと比較して

血糖値の上昇が抑えられ、1日の摂取カロリーが減少

朝の忙しい時間を間食で乗り切ろうとする場合には、何を間食として食べるかで、朝の生活やその後の1日の食事に大きな影響を与えます。世界最大のアーモンド生産地である米国カリフォルニア州の約7,600のアーモンド生産農家ならびに100を超える製造加工業者で組織される「カリフォルニア・アーモンド協会」(本拠地:米国カリフォルニア州モデスト)の出資により、実施された新たな研究において、午前中にアーモンドを間食として摂取すると、炭水化物を多く含む一般的なスナックを摂取する場合と比べて、血糖値が安定し、1日を通して摂取されるカロリー数を抑えられることが示唆されました1

本研究は、ニュージーランドの成人(18歳から65歳)100名を対象に実施されました。介入群は、毎日少なくとも42.5gの生アーモンドを摂取し、対照群は同カロリーの甘いビスケット(最も一般的とされるスナック)を摂取しました。どちらのスナックも1日の総摂取カロリーの10%を占めたため、場合によってはスナックの摂取量が、さらに増えることもありました。

本研究では、無作為化クロスオーバー法が採用されました。具体的には、各参加者は、アーモンドを摂取する試験を終えた後、ウォッシュアウト期間をはさみ、別の日にビスケットを摂取する試験(またはその逆)を受けました。試験当日の参加者は、標準的な朝食を摂り、その2時間後に、間食としてアーモンド、またはビスケットのいずれかの指定されたスナックを摂取しました。そして、参加者の血糖値と食欲スコアを、ベースライン時、および間食後の15分または30分間隔で測定しました。間食の2時間後には昼食が提供され、参加者は好きなだけ食して消費量を記録した後、その日の残りの時間に摂取した食事量も記録してもらいました。

Almonds

その結果、アーモンドを摂取した介入群が、ビスケットを摂取した対照群よりも、血糖値の上昇が低かったことが分かりました。また、食欲においては、90分後の対照群の食欲スコアが、介入群と比べて低かったこと以外(介入群の方が、より安定した血糖値反応を示していたことから、予想外な結果となりました)、両グループ間での差は見られませんでした。

介入群と対照群の間で、昼食時のカロリー摂取量に差はありませんでした。しかし、参加者の食事記録によると、アーモンドを摂取した場合に、1日の食事量が、平均150カロリーほど少なかったことが分かりました。このカロリー減少が持続すれば、理論的には1カ月で約0.5キロの体重減少が期待できることを示します。

この1日だけ行われた試験は、体重管理への長期的な影響を調査する1年間におよぶ研究の一部です。今回の研究結果は、『European Journal of Nutrition』誌で発表された、過去の研究結果2と一致しています。その研究では、午前中の間食に42gのアーモンドを摂取した場合、何も食べない場合と比べて、食欲が抑えられ、昼食と夕食における摂取カロリーの減少が見られました。午前中に間食をしないことよりも、アーモンドを間食として摂取することで、空腹感が抑えられることを示唆する結果となりました。

ニュージーランドの国立オタゴ大学人間栄養学科の主任研究員兼教授であるレイチェル・ブラウン(Rachel Brown)博士は、次のように述べています。「今回の研究では、午前中にアーモンドを間食として摂取することで、参加者の1日の摂取カロリーが、自ずと減少することが示唆されました。また、アーモンドの摂取は、間食後の血糖値の上昇を抑制することも分かりました。2型糖尿病の有無にかかわらず、間食や食後の血糖値が常に高いと、心臓病や様々な原因による死亡リスクが高まる可能性がある点においても、重要な研究結果であると言えるでしょう。」

アーモンドには、食物繊維(100gあたり12.5g/30gあたり3.5g)と、マグネシウム(100gあたり270mg/30gあたり81mg)、カリウム(100gあたり733mg/30gあたり220mg)、ビタミンE(100gあたり25.6mg/30gあたり7.7mg)を含む15種類の必須栄養素が含まれており、栄養価が高く、間食として最適な食材です。アーモンド28gには、良質な脂肪である不飽和脂肪酸が13g含まれ、飽和脂肪酸は、わずか1gです。

研究概要

研究内容

本研究は、急性無作為化クロスオーバー法で実施され、参加者に1日に必要とされるエネルギー量の10%に相当する量の生アーモンド、または甘いビスケットのいずれかを摂取してもらいました。参加者は、2つのスナックをバランス良く摂取できるように、無作為に割り振られました。各試験の間には、主要な試験結果が、介入前のレベルに戻るのに十分な期間であると予想される、1週間のウォッシュアウト期間を設けました。100名の参加者(女性75名、男性25名、平均BMIは23.1kg/m²)が試験を完了しました。年齢の中央値は29歳で、18歳から65歳までの幅がありました。

試験当日の参加者には、標準的な朝食を摂ってもらい、その2時間後、指定されたスナックを間食してもらいました。血糖値と食欲スコアは、ベースライン時と、間食後15分または30分間隔で測定しました。間食の2時間後に昼食が提供され、参加者は好きなだけ食し摂取量を記録しました。また、参加者には、その日の残りの時間に摂取した食事量も記録してもらいました。

研究結果

血糖値の上昇は、ビスケットよりも、アーモンドを摂取した後の方が抑えられていました。血糖値の曲線下面積の増分の平均(95% CI)の差は、53mmol/L.minでした(p<0.001)。

食欲に関しては、90分後の食欲スコアが、アーモンドを摂取した介入群に比べて、ビスケットを摂取した対照群の方が低かったこと以外、両グループ間での差はありませんでした。アトウォーター係数を用いた場合の空腹時の平均満腹指数は、対照群と比べて、介入群が統計的に有意に低くなりました(p=0.037)。可消化エネルギーを方程式に用いた場合には、この差は統計的に有意なものでなくなりました。

昼食時の摂取カロリーについては、2つのグループ間での差はありませんでした。しかし、アーモンドを摂取した介入群では、スナックを摂取した対照群と比較して、1日の消費カロリーが平均150キロカロリー減少しました。その他の栄養素に関しては、統計的に有意な差は見られませんでしたが、飽和脂肪酸(p=0.056)および糖質(p=0.053)の絶対摂取量に関しては、介入群が対照群に比べて低いという統計的に有意でない傾向が見られました。

研究の限界

本研究には、いくつかの限界があります。急性的な試験であるため、短期的には有用な情報を得られますが、その結果が、必ずしも長期的な結果に結びつくとは限りません。また、スナックの栄養組成が異なるため、エネルギー密度を制御することができませんでした。ホールアーモンドが急性的に血糖値を低下させ、その効果は2回目の食事の後も持続することを示す研究結果があることから、より長期間にわたり、血糖値をモニタリングすれば、さらに有益となる可能性があります。また、参加者は正常体重と過体重が混在していたため、結果を他の集団に外挿することはできません。

結論

一般的なビスケットの代わりに、同カロリーのアーモンドを午前中の間食として摂取することで、間食後の血糖値の上昇が抑えられ、残りの1日のエネルギー摂取量が減少しました。スナックを、よりヘルシーなアーモンドに置き換えることが、体重管理をサポートし、健康的な血糖値を維持する可能性のあることが示唆されました。今回の介入の長期的な効果を明らかにするためには、より多くの人々を対象とした研究を進める必要があります。

1.「アーモンドの間食は、一般的な高炭水化物のスナック菓子と比較して、血糖値とカロリー摂取量を低下させることを示す無作為化クロスオーバー試験」Brown R, Ware L, Gray AR, Chisholm A, Tey SL.『Int J Environ Res Public Health』 2021; 18(20): 10989. 2021年10月19日掲載。doi:10.3390/ijerph182010989

2.「健康な女性において、午前中の間食は満腹感をもたらし、その後の食事量を適切に調整する」Hull S, et al.『European Journal of Nutrition』2015;54(5):803-10.