米国アパラチア州立大学ヒューマンパフォーマンス研究所教授兼主任研究員で米国スポーツ医学会評議員(FACSM)のデイビット・C・ニーマン(David C. Nieman)公衆衛生学博士と研究チームは、週に3回以下の運動をする健康な成人を対象に研究を行い、アーモンドをスナック(間食)として摂取すると、運動後の疲労感や緊張感が和らぎ、回復時の足腰の強度が高まり、筋肉損傷が軽減されることを明らかにしました1。カリフォルニア・アーモンド協会は、この研究に資金を提供してきました。
アーモンドが筋肉の回復を促進するしくみ
ニーマン博士の研究チームは、アーモンドをスナックとして摂取する介入群と、高炭水化物シリアルバーを摂取する対照群に分けて、90分の運動セッション後に、どちらが、より筋肉の炎症反応を抑え、疲労から回復しやすいかを調査しました。ニーマン博士は、次のように述べています。「本研究により、アーモンドが、運動後の回復を助ける食品としてスポーツ栄養戦略に加えられるべきものであることが明らかになりました。」
本研究結果の詳細は以下の通りです。
研究対象者
本研究では、週3回以下、運動をする平均年齢46歳の健康な成人64人を対象としました。
研究概要
この実験では、無作為化並行群間試験を行い、17種類の運動からなる90分の偏心運動をする前に、介入群(n = 33)には毎日57g(2オンス)のアーモンドを、対照群(n = 31)にはカロリーを調整したシリアルバーを、午前と午後に分けて4週間摂取してもらいました。
被験者には、最初に、血液と尿の採取、気分と筋肉痛に関するアンケートへの回答、身長、体重、身体組成の測定を行ってもらいました。その後、筋肉機能テスト(エクササイズ)を行った後、アーモンドかシリアルバーのいずれかを4週間摂取してもらう調査を開始しました。4週間後に、食事摂取記録、血液と尿のサンプルを提出し、再度アンケートに回答してもらいました。偏心運動を繰り返し行なった後、被験者には17種類の運動からなる90分の運動を行ってもらいました。偏心運動の例としては、荷物をゆっくりと床に下ろす運動、スクワット、腕立て伏せなどがあります。
研究結果
アーモンドを摂取した介入群では、以下が示されました。
- 運動後の疲労と緊張が和らぎ、脚と腰の筋力が向上しました。
- 運動直後および1日後に、筋肉損傷のマーカーである血清クレアチンキナーゼの値が低下しました。
- 筋肉機能、回復、脂肪燃焼に影響を与える分子であるオキシリピン12、13-DiHOMEの値が高く、オキシリピン9、10-DiHOMEの値が低くなりました。
- 尿中の大腸由来フェノール類の値が上昇しました。これは、植物を保護するだけでなく、人間の健康に役立つ可能性のある天然由来の植物性化合物であるポリフェノールを、アーモンドから摂取したことを示しています。
- 介入後、気分の状態がいくらか改善しました。
研究の限界
本研究の限界は、時々(週3回以下)運動をする肥満でない非喫煙者のみを対象としていることで、この結果を他の人口動態や健康状態のグループへ一般化することはできません。
研究のまとめ
- 介入群では、代謝に有益な影響をもたらす9、10DiHOMEの減少および12、13-DiHOMEの増加など、いくつかの指標でプラスの変化がみられました。全体として、アーモンドの摂取が、トレーニングを受けていない肥満でない男女において、運動後の炎症反応に有益な影響を与えることが示されました。
- 介入群では、運動直後および1日後に血清クレアチンキナーゼの値が低下しました。運動は血中クレアチンキナーゼ濃度を上昇させ、濃度の上昇は筋肉の損傷を示します。
- 介入群では、運動後の疲労感や緊張感が和らぎ、回復時の足腰の強度が高まり、回復初日の筋肉損傷が軽減されました。